体組成計の体脂肪率測定ができず困っていたけど、分解清掃して直した話。
断っておきますが、分解は自己責任でよろしくです。
機種は↓の型番違いのHBF-256T。説明書が共通で、説明書内でも特に仕様が異なる記載がないため、今回の内容は255にも使えるはず。なんならガラストップの機種共通かもしれません。
この機種、
①人が体重計に乗る
②体重が出る
③1~3秒ほど待機
④体脂肪率等のデータを算出・表示
⑤データを体組成計内部に保存
⑥スマホアプリからの指示が来たらBluetoothでスマホへ転送
という動作をしているんですが、③で10秒ほど待機させられた挙げ句に「Err1または2=測定できなかったよ!」というメッセージを吐いて停止。もちろん④⑤⑥の動作は行われません。
保証も切れてるので、とりあえずサクッと分解。裏面のネジを10本外せばOK。ツメ等はありません。
中央上側に大きめのメイン基板があり、電線で他の基板やセンサに接続されているパターン。メイン基板上の印字を参考にして接続先の役割を把握していきます。
・メイン基板…周辺からの情報を統合して液晶ディスプレイに表示する
・タッチセンサ(メイン基板の下側、左・中央・右にある小さめのの基板)…静電センサ素子と、そのon/off判断用
・さらにその下の基板…物理スイッチと、そのon/off判断用
・四隅のロードセル*2…体重測定用
・左右端の端子…体脂肪率測定用
という構造のようです。今回は体脂肪率がうまく測定できないので左右端の端子に着目して調査します。
とりあえず左右端の端子~制御基板間の電線*3の導通OKを確認。基本ですが意外と忘れがち。
左右端の何かを調べるために付近のカバー*4を外すと、分厚い天板ガラスにU字型の電極がはめ込まれていました。あと3年分の汚れも大量に……。
表から見るとこんな感じ。この写真は掃除した後ですが、掃除前には上下の電極が縦方向につながりそうなレベルで汚れており、かつ電極とガラスの間にも大量の汚れが…。
清掃後に測定すると、新品時の速さで体脂肪率を測定できるようになりました。分解手順と逆に作業して修理完了。
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ここからは、なぜここの清掃で体脂肪率が再び測定できるようになったのかの考察です。暇な人だけ読んでください。
①この機種の体脂肪率の測定原理は以下。
人の体に電圧をかけてどのくらい電流が流れるかを検知し抵抗率を求める。脂肪と筋肉の比率や年齢・性別で電気抵抗が異なるので、そのあたりを何らかの計算式で求めている…という感じですかね。多分。
②測定原理からの推測ですが、体脂肪率測定時には今回清掃した上下の電極に電圧をかけているはず。測定時には人の足があるので、上の電極→ガラス→人の足→ガラス→下の電極…という経路で電流が流れるんでしょうね。
③ここに今回は、上下の電極をつなぐような形で汚れがたまっていたため、②の経路に加えて上の電極→汚れ→下の電極 という経路でも電流が流れたと推測します。そのため本来の経路に流れる値が変動してしまい、エラーが頻発してしまった…という感じでしょうか。
④もしくは電極とガラスの間に汚れがたまっていたため、②の経路が上の電極→汚れ→ガラス→人の足→ガラス→汚れ→下の電極 という風になっていたのかもしれません。同じく本来の経路に流れる値が変動したパターンですね。
⑤③と④のどっちが正解かは、汚れが導電性なのか絶縁性なのかによって変わりますね。深く考えずに拭き取ってしまったので検証は難しいです。
⑥一般的な体組成計は表面に電極が露出しているので、どちらの事象でも電極を拭けば治るので問題ありません。ただし今回のような構造だとカバーを外さないとアクセスできないところに汚れが溜まって誤検出の原因になるのは設計的にマズいのでは…と思ったり思わなかったり。