軍事用途で研究が始まった無人機は、いくつかの失敗作の後に「RQ-1 プレデター」とその派生型の成功により大幅に調達数と使用頻度が増加しました。その後、無人機の技術が民間にも活動領域を広げつつあるのはご存知の通りだと思います。
本書は「RQ-1 プレデター」とその派生型がどのように開発され、採用、運用されていったのかを記したドキュメンタリーで、プレデターに関係する技術者、軍人、官僚たちに聞き取り調査を行い、各場面をできる限り克明に表現しています。
描写が細かすぎて読むのがちょっと辛い部分もありましたが、おおむね楽しく読むことができました。個人的に、以下のくだりは大興奮でした。
- 試作品の飛行テスト、離陸直前にエンジンが停止して失敗→原因調査→短時間の飛行テストなので燃料タンクに燃料が少ししか入ってなかった→離陸時に機体が傾いて、タンクからエンジンへの燃料供給が不足→エンジンが停止
他にも当初はセンサーしか付いてなかったプレデターに対地ミサイルを装備させる際に法的根拠で揉めるくだりや、9.11を契機に一気に導入が加速するくだり等は続きが気になって一気に読むことができました。事実は小説より奇なり、でした。
この本を読んでいる時期、後ろ向きな仕事が多くてちょっとモチベーションが下がっていたのですが、この本のおかげで乗り切ることができました。
技術系の仕事をしてる人で、最近技術的に面白いことできてないなぁ…と悩んでる方に特にオススメです。